研究内容

居住空間における日常生活動作計測システム

 少子高齢化による介護労働力の減少から、健康寿命の延伸が推進されています。 転倒や疾患のリスクを知るための身体機能評価を目的として地域の運動計測会では Timed Up and Goテストなどの様々なテストが実施されていますが、 普段と異なる環境下では自然な動作が行えず、本来の身体機能を評価することが困難です。
 そこで本研究では、歩行・階段歩行・立ち座り動作などの日常生活動作を対象とした 日常的な身体機能評価を目的として、居住空間に導入可能な動作計測システムを提案しています。 プライバシ保護のためRGBデータは用いず、センサからの距離を表す深度データのみから 独自のアルゴリズムで関節位置や角度の情報を推定し、 居住者に負荷をかけない見守りシステムを構築しています。

身体機能評価指標の開発

 高齢者に多い運動器疾患の一つである変形性膝関節症は早期介入が効果的である一方で、 症状の進行を自覚しづらいといわれています。
 これに対し本研究では、日常生活動作計測システムを用いて計測された情報を用いた 身体の機微な変化の検出を目指しています。 動作計測システムを用いた大規模な測定会の実施により、 変形性膝関節症をはじめとする運動器疾患の有無と取得された計測データを分析することで、 変形性膝関節症のスクリーニングに有用な新しい評価指標を開発しています。

ウェルネスインフィルの構築

 ウェルネスインフィルとは、間取りや家具の配置などの居住空間の設計および 居住環境の制御により、居住者の日常生活中の動作をデザインするシステムのことを指します。
 階段の設計、段差や家具の高さおよび間取りなどの空間設計によって、 日常生活動作時の身体の各部位にかかる負荷は変化します。 例えば、ある動作時に特に腰にかかる負荷が大きい場合は、 毎日の繰り返しによっていつか腰を痛めてしまうかもしれません。 それを回避するヒントが居住空間の設計に隠されているのではないかという仮説に基づいて、 居住者の動作に応じた適切な空間設計による、居住者の健康な生活の支援を目指しています。